あおいとり(写真家)
京都府生まれ。兵庫県在住。
本業はサラリーマン。ポートレート撮影の他、猫や野鳥等の動物の撮影にも取り組む。オールドレンズを使った作品づくりもライフワーク。・著書(共著)
「フジフイルム X-E3 WORLD 」(日本カメラMOOK)
「PENTAX KP オーナーズBOOK」 (Motor Magazine Mook)
・SNS
Twitter:@bluebirdjourney
Instagram:@bluebird.7
こんにちは。
今回はポートレートのコツというお題目をいただきましたので、普段のポートレート撮影で、ちょっと気にしてプラスいただくと良いのではないかという点をまとめて、「ポートレート撮影のちょい足しレシピ」というタイトルで、お話ししたいと思います。
ポートレート撮影といっても、とっても幅広いと思います。
僕が普段しているポートレートは、四季の風景や街中で、あまり作り込むことなく、被写体さんの自然体を撮影するようなスタイルです。
特徴としては、例えば以下の作例のように光の表現で工夫を加えたいということから、オールドレンズや少し個性のあるレンズを好んで使っています。
今回の内容もこのような自分の経験を踏まえた上でのお話しにしてみたいと思います。
モデル:水瀬凛さん
使用レンズ:Asahi Pentax Supar Takumar 50mm F1.4
また、ポートレート撮影は、本来は撮影中のテクニックだけではなく、モデルさんの手配やロケ地選びや撮影後のレタッチ等、色々と広範囲なことに気を配る必要があります。
今回は、紙面も限られていることから、撮影中に実践できるポイントについて絞った上で、僭越ながら自分の経験を踏まえてお伝えしていきます。
【ポートレート撮影のちょい足しレシピ】
- 焦点距離を使い分ける
- 効果的なボケの使い方
- 順光、逆光やフレア、ゴーストを使いこなす
- 小物の使い方、季節を取り入れる
- 空気作り
僕は普段は、フルサイズのデジタルミラーレスカメラ、中判デジタルミラーレスカメラ、フィルムカメラ等様々な種類のカメラを使っています。
今回は「ちょい足しレシピ」をわかりやすくお伝えしたいということから、フルサイズのデジタルミラーレスカメラの作例を取り上げています。
使っているレンズの商品名については、記事中に記載していますので、ぜひ、ご参考にしていただけますと幸いです。
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1.焦点距離を使い分ける
みなさんは、ポートレート撮影する時の焦点距離は何mmがお好みですか?
85mmレンズのことをポートレートレンズと言ったりもしますが、標準レンズと言われる50mmがお好きな方もいれば、風景なども自然な感じで背景に入れられる35mmをよく使う方もいるでしょう。
シチュエーションによっては、135mmという選択肢もあるかもしれません。
ちなみに、35mmで撮影するとこのような形で、まあまあ寄って撮ってもボケ切らず背景の情報もかなり入れることができて、撮影地の雰囲気を生かすことができます。
モデル:セイナさん
使用レンズ:Zeiss Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA
一方で、85mmで撮影すると、逆に背景を綺麗にぼかすことができ、被写体さんを浮き上がらせることができるうえ、あまりしっかり映って欲しくないものをぼかすことができます。
最近ですと背景にマスクをしている人が歩いていたりすることも多いと思いますが、そのあたりを目立たなくすることができます。
また、背景に光源を持ってくると綺麗な玉ボケになり、表現の一つとなります。
モデル:じきまる。さん
使用レンズ:Zeiss Planar T*1,4/85
ただ、被写界深度が浅くなるので、ピント合わせには注意が必要です。
でも、最近のミラーレスなんかは、瞳AFでバッチリ合わせてくれるので、あまり心配は無いのかもしれませんね。
また、50mmを使うと「ちょうどよい距離感」の自然な写真が取れると思いますし、28mmや24mm、20mmあたりを使うと、独特のゆがみ(パースやパースペクティブと呼ばれる)を生かした足長効果や躍動感を得ることができます。
みなさんの好みももちろんあるとは思いますが、僕自身は、あまり超広角を使うよりは、28mmくらいの自然な足長効果が、一番好きです。
モデル:セイナさん
使用レンズ:NIKKOR-H Auto 2.8cm F3.5
2.効果的なボケの使い方
ポートレートの楽しみの一つに、ボケをうまく活かして、いかに被写体さんを効果的に浮き上がらせるか、というテーマがあります。
ボケは背景に対してのものと、「前ボケ」といって、被写体より前にあるものをボカして雰囲気を作る手法があります。
特にお花と一緒に撮るときは前ボケを入れやすいので、極力、前になにか入れるように構図を考えてとることが多いです。
モデル:水瀬凛さん
使用レンズ:helios 40-2 85mm f1.5
背景にボケを入れる場合は、光源ややはり、お花や植物などがあると引き立つと思います。
また、オールドレンズを中心に背景がぐるぐるして見えるようにボケるレンズがありますので、それらを活用して表現に生かすやり方もたまに使います。
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3.順光、逆光やフレア、ゴーストを使いこなす
ボケがコントロールできるようになったら、今後は光をもっと使いこなしたいという気持ちになってきます。
ポートレートを撮影する方の中では、順光が好きな人、逆光が好きな人、そして曇り空が好きな人と色々と好みがあると思います。
ちなみに僕は圧倒的に逆光が好きで、極力逆光で撮影するようにしています(といいつつ、天気の都合や背景との構図の都合で、なかなかうまくはいかないのですが。。)
まず、順光の写真を見ていきましょう。
色がくっきり出るのと、瞳の中光が入ってそれが美しいですね。
ただ、顔に影が出やすくなるので、そのあたりは注意が必要です。
ただ、人によっては、この影が好きな方も多いようで、表現の1つにもなっていると思います。
モデル:水瀬凛さん
使用レンズ:Zeiss Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA
次に逆光です。
全般的に少し色が飛んでしまうのと引き換えに、女性の肌が美しく映るのと、髪の毛がキラキラするので、透明感が出やすいというのがあります。
今はやりの「エモい」写真になりやすいというのは確かにあるようです。この逆光写真は特に日本で流行しているようですね。
モデル:じきまる。さん
使用レンズ:Zeiss Distagon T* FE 35mm F1.4 ZA
そして、次は、逆光にさらにもう一手間加えたもので、フレアとゴーストをうまく表現に取り入れるというものです。
フレアやゴーストを出すには、最新型のレンズではなかなか難しいので、オールドレンズか、サードパーティ等で出ているシングルコート等のレンズを使うと、うまくいくことが多いと思います。
僕がよく使っているのは、Asahi Pentax の SuperTakumar50mm F1.4というレンズで、写り自体も好きなのですが、日光の角度によってはごく自然なゴーストが出て、いわゆる「エモい」感じになります。
モデル:水瀬凛さん
使用レンズ:Asahi Pentax Supar Takumar 50mm F1.4
他にも円形のサークルのゴーストが出るものや色も虹色だったり紫だったりというゴーストを出すレンズもあるので、オールドレンズ等を色々と試しながら撮影するのはとても楽しいです。
数千円から買えるレンズも多いので、みなさんも興味があれば是非、ためしてみてくださいね。
4.小物の使い方、季節を取り入れる
続きましては、カメラの使い方とは少し離れますが、ポートレート撮影する際に、小物をちょっと活用するだけで、随分、表現に幅が持たせられると思います。
こちらの写真は、小道具として丸く広がる扇子を用意しました。あえて隙間から覗いてもらうようなポージングをしてもらったら、眼がとても印象的な作品にすることができました。
他に僕がよく使う小道具としては、クラシックカメラを被写体さんに持ってもらうと、それだけでちょっとエモい感じの写真になるような気がしますし、両手がブラブラしてるよりは自然なポーズを取ってもらえるような気がしています。
ですので、何も思いつかなかった時はとりあえずクラシックカメラを持ってもらっています。
また、撮影場所を選ぶ場合は、季節が感じられるものを加えると情緒が出ると思います。
春なら桜や菜の花、夏ならひまわり等、お花があるのであれば、それがわかりやすいですが、初夏なら新緑、真夏なら氷屋さんの暖簾や入道雲、秋なら紅葉やススキ、冬なら雪を構図の中に加える等でも良いかもしれません。
5.空気作り
実は、ポートレート撮影において、一番重要なものの一つが場の空気作りだと思っています。
ただ、これは、かなり人の性格やパーソナリティによるところが多いので、一概にこの方法が良いというのはないと思っています。
しいていうなら、自分流で最善を尽くすということでしょうか。
話好きのひとなら、どんどん話しかけて、乗せていく感じでしょうし、ただ静かにシャッターを切るだけなのにとても綺麗な写真を撮るカメラマンのお話をお聞きしたことがあります。
また、撮影回数を重ねて、被写体さんとの距離感を縮めていくタイプの方もおられると思います。
僕の場合は、とにかく威圧感を出さないように、空気のようになれるように心がけて撮影しています。
目標は、所謂モデルさんの決め技的な表情やポーズ以外の部分をいかに引き出すかで、モデルとしてではなく「その人」の「人となり」が写せるように頑張ろうと毎回思っています。
この点については、みなさんそれぞれスタイルがありますし、自分の目標とするもの、自分が得意なやり方を見つけて、無理はしないことが一番かな?と思います。
是非、ご自分のスタイルを見つけてみてくださいね。
モデル:セイナさん
使用レンズ:SIGMA 50mm F1.2 DG DN Art
おわりに
ポートレートは、カメラマンと被写体さんの「人間対人間」のコラボレーションなので、どうしてもカメラテクニック以外の要素が写真に反映されるところがとても面白いし、難しいところでもあります。
奥深いので飽きることがありません。
今回は「ふぉとるプラス」さんでの初めての記事投稿ということで、基本的なところからお話させていただきましたが、機会があれば、それぞれについて、より具体的な情報をお届けできればと思います。
みなさまの写真撮影にとって、ほんの少しでも「ちょい足し」に感じていただければ幸いです。
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